ガネーシャ3〜謙虚な知恵〜

しつこいようですが…
もう一つガネーシャにまつわるエピソードをご紹介します。
 
 
ガネーシャには実は兄弟がいます。
スカンダです。

スカンダ(カルティケーヤ)は,「軍神」などと呼ばれるように,他の神様たちからも恐れられる超~~腕っぷしの強い神様です。

あ,そうそう,足の速い人のことを
「韋駄天」と言いますよね。

この「韋駄天」って,スカンダのことなんですって。

つまり,スカンダは,運動神経抜群で力自慢の神様なんです。
 
対するガネーシャはといえば…

ええ,そうですとも,ご存知のとおり,
象頭の太鼓っ腹です。

さて,あるとき,この凸凹兄弟の間で,
「どっちが上か決めよーぜ!」ということで議論になり,ある勝負をすることになりました。

それは,世界をグル~ッと回って,
先に帰って来た方が勝ち!というもの。

…ガネーシャさん,あなた馬鹿じゃないの…(象じゃなくて(笑))

勝てるわけないじゃん…

ネズミに乗った象頭が,
華麗なクジャクを乗りこなす俊足の神に…
 
 
よーいドン!で,
颯爽とクジャクに乗ったスカンダは
当然のことながらばーっと飛び出しました。

さて,「ふふーん,楽勝だ~!!」
と確信して帰って来たスカンダですが…

なんと!すでに勝負はついていたのです。
 
 
ガネーシャの勝利!!
 
 
さて,一体ガネーシャは何をしたのでしょうか?
 
 
よーいドン!の後,
ガネーシャは駆け出しもせず,お祈りの姿勢をとり,とことこと歩き出しました。

向かった先は…両親,
シヴァとパールヴァティです。

ガネーシャは両親の周りをぐるりと回り,
合掌してペコリとお辞儀。

そんなガネーシャに,シヴァは尋ねます。

「お前はなぜそんなことをしたのかね?」

ガネーシャは答えました。

「私にとっては,あなた方こそが世界の中心です。だから,あなた方の周りを回ったのです。」
 
 
シヴァは,ガネーシャのこの謙虚で忠実な姿勢と深い知恵を大変喜びました。

こうして,勝負はガネーシャの勝ち、ということになったのです。

力はあれどそれにうぬぼれていたスカンダは,勝負に敗れました。
 
 
ガネーシャの謙虚な深い知恵は,私たちにとって, 本当に身につけなければならないものは何かを教えてくれているような気がします。

それは、謙虚さ。

それは、真の知恵。
 
 
真の知恵とは,
知識が豊富だとかそういうことではなく,

「私とは何か?」
「世界の本質とは何か?」

ということについての理解。

それを育むためにはまず謙虚な姿勢が必要です。

いつも大きなものに支えられて在ることを,
謙虚に受け止めることなくして,
真の知恵を得ることはできないのだと思います。
 
 
「シヴァ」とは,
世界の本質そのものを示すことば,
真の知恵の核心そのもの,だそうです。

ガネーシャが周りを回った青首のシヴァ神は,その「顕れ」「象徴」です。
 
 
yogaのpracticeを通じて,
私たちはその真の知恵を少しずつ育んで行くのです。

ガネーシャのような深い真の知恵を。

[memo] peak pose
for bacic: humble warrior or Parsvottanasana
for advanced: twisted pre Eka Pada Raja Kapotanasana 1 with anjali mudra