リラックスという強さ（nida’s newsletter- no.72-より）
＊こちらの記事は 2018.06.01配信の，nida’s newsletter～ living in the moment ～- no.72-より抜粋して引用したものを以下に掲載しています。
先日，インド古典音楽のパーカッション，「タブラ」の奏者 指原一登さん主催で
「音楽家のための身体ワークショップ」を開催しました。
参加してくださった内の２名は，60代で，特にここ２年ほどタブラを練習しているという方々。
彼らの共通の悩みは，主に
「練習のために長く座っていること自体がキツイ」
「つい肩や腕に力が入ってしまって，思ったように演奏できない」の２点。
で，それを，いろんな身体のワークや調整をしては叩いてみて，
音と感覚の変化として確かめて行くんですね。
このワークの鍵は…そう，「リラックス」です。
肩や腕に力が入ってしまう一つの原因は座り方からくる緊張です。
身体のどこかが痛いと，そこが気になる。そして，その緊張は全身に及びます。
だから，まず座り方の調整から始める。
そしたら，「座るのがキツイ！」から解放されて，練習によりリラックスして集中できるのです。
「リラックス」と言えば，
最近，ある合気道家の本を読んだんですね。
そしたら，そこにもスパッとこう述べられていました。
「身体のつかい方で重要なのは「リラックス」です。
「リラックス」とは，身体の余分な力をすべて抜くことで，全身をひとつに用いて，強くなる状態を指します。
似て非なるのは「虚脱状態」で，これは，必要な力まで抜けてしまって，弱くなる状態のことです。
力というものは，力んでいるところにかかります。
つまり上体に力みがあると，上体に負荷がかかるわけです。
全身のどこにも力みがなければ，全身で受け止めることができます。
これがリラックスです。」
（藤平信一『心と身体のパフォーマンスを最大化する「氣」の力』ワニブックスPLUS新書 p.147）
力んでいる方が一見強そうに見えるじゃないですか。
でも，本当に「強い」って，逆なんですね。
「リラックス」が最強なのだそうです。
ヨガのポーズでも同じ。
そして，演奏でも同じ。
タブラの巨匠である指原さんのお師匠さんも，肩～手指までユルユルなんですって。
あらゆることにおいて同じです。
緊張していると結局実力を発揮できない，思ったようにいかないですもんね。
さて，話は戻りますが。
WS参加者さんの肩や腕の緊張は，座り方の改善だけでは済みません。
でも，いろんなワークをして行くうちに体が緩んで，まあ音がすごく変わって行くわけですよ！
で，その中で，彼らはとても大きなこと自ら気づいて行ったんです。
どうしてこんなに緊張していたのか？？
それは…
「うまく叩こうとしていたからだ」
逆説的に聞こえるかもしれませんが…残念ながら，そうなんです。
うまく演奏しようとするほど，その緊張からうまく演奏できないんです。
うまく演奏しようとする背景にあるのは，そのための思考と執着。
そして，裏返して言えば，不安，自信のなさもあるでしょう。
思考すればするほど，執着すればするほど，望む結果から遠ざかってしまい，
リラックスできなくなります。
もちろん，「うまくなりたい」という気持ちが「よくない」とかそんな話じゃありませんよ。
ただ，
アタマじゃなくて，ハラに重心を下げる。
うまく演奏できなくても死なないんだし（笑），執着を手放し，今できる自分の最大限をする。
タブラを叩こうとするんじゃなく，タブラが「鳴る」のを聴く。それを楽しむ。
その方が，結果的にずっとうまく演奏できてしまうんです。
それを身をもって体感されていました。
（お歳を重ねても，こうして素直に実践し，気づきを受け入れられる，その学ぶ姿勢に
わたしもとても学ぶところがありました。感謝！）
これは，楽器演奏だけのことじゃありません。
わたしたちの生活，人生のあらゆることに共通する原則なんじゃないかと思います。
そして，自然にわたしたちのハラが据わり，執着が手放せる究極の道の一つが，
まさにヨガだと思うのです。
それはすなわち，
「わたしは大いなるもののあらわれである」という確信。
それこそが究極の「リラックス」であり，
究極の「強さ」なのではないかと思うのです。
だから，わたしもその道を歩んでいます。
リラックスしているからこそ力強い，すばらしい先生たちに導かれて。
みなさんとともに。
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こちらの記事は毎週金曜配信のnida’s newsletter ～ living in the moment ～より一部抜粋です。
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