息と「息の霊(いのち)」(nida’s newsletter- no.71-より)
*こちらの記事は 2018.05.25配信の,nida’s newsletter~ living in the moment ~- no.71-より抜粋して引用したものを以下に掲載しています。
ヨガを初めて体験された方に,どうでしたか?と聞くと,
よく「呼吸できていなかったことに気がつきました」とか
「呼吸が深くなりました」などとおっしゃる方がいます。
あなたもそういう体験からスタートされているかもしれませんね。
でもこれって考えてみたらまあ不思議な話ですよね(笑)
だって息してなかったらわたしたち死んでるでしょ(笑)
でも,わたしたちは一般的に,要はそのくらい,普段は呼吸が浅かったり,
そもそも呼吸を意識できてなかったりしているというわけです…
さてさて,この「息」について,最近大変おもしろい文章を読みました。
「息」という漢字は,「自」+「心」ですね。
この「自」という字はもともと「鼻」を意味するのだそうです。
ですから「鼻」に「心」がついて「息」というわけです。
では,なぜ「心」がついたんでしょう?
『あわいの力』の中で,安田登さんはこのように書いています。
「それはおそらく,人間の呼吸と心との関係に気がついたからではないかと思うのです。
呼吸に使われる筋肉は,自分の意思(心)とは無関係に動きます。
寝ているときがわかりやすいですが,
呼吸しようと思わなくても,身体は勝手に「吐いて吸う」を繰り返します。
人間以外の動物も同じです。
動物たちは,自分の意思(心)で呼吸をコントロールしているように見えません。
ところが人間は,自分の意思(心)である程度呼吸をコントロールすることができます。
吐く息を伸ばしたり,呼吸を止めたりもできます。
深い息である「溜め息」なんかをすることもできます。
心で呼吸をコントロールする,それが「息」という漢字に心がついた,ひとつの理由だと思います。
そして,人はやがてこの逆もできるということに気がついた。
すなわち呼吸で「心」がコントロールできる,そういうことを学んだのです。」(p.149)
さらにまた…
「古来,日本人は「息」に生命活動を感じていました。
生命活動をあらわす「いのち」という言葉は,「息の霊(いのち)」だといわれています。
『古事記』では,神性や霊性をあらわすのに「ひ」と「み」と「ち」という言葉が使われています。
…中略…
「ち」は,「おろち(大蛇)」や「いかづち(雷)」という語に使われる霊性です。
「血」や「乳」も,同じ「ち」で,こちらは「蠢(うごめ)く霊力」「強い霊性」をあらわします。
この「ち(霊)」に「息」がついたのが「息の霊=命」なのです。
「息」は日本人にとって,強く蠢く生命活動の象徴そのものでした。
「あはれ」という言葉であらわされる,「腹」の底から吐き出す「深い溜め息」も,
「いのち」に通じるものなのです。」(p.150-1)
「息」に,自分たちの内なる力強い霊性を感じることを,
そしてそれによって,「天地に遍満する蠢く霊力と交信する」(p.151)ことを,
現代のわたしたちはずいぶん忘れてしまっているのではないでしょうか?
「息」に,わたしたちの内側から湧き出る「蠢く霊力」とのつながりを思い出すこと。
「息」を入り口に,自らの「いのち(息の霊)」の源,すべてに遍満する力へと還って行くこと。
それはまさにヨガに他なりません。
そして,古来の日本人が知っていたことなら
それはきっとわたしたちにも学ぶことができるはず!
そう思いませんか?
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こちらの記事は毎週金曜配信のnida’s newsletter ~ living in the moment ~より一部抜粋です。
記事全文はnidaのnewsletterのみで掲載されています。
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